コミックマーケット代表亡くなる

数日前のニュースであるけど、久々にショックを受けた
ニュースだったので記しておく。


10/1にコミックマーケットの代表を務めてきた米澤嘉博氏が亡くなられた。


コミックマーケット準備会発表文
http://www.comiket.co.jp/info-c/C71/061001.html


新聞の訃報欄を何気なく眺めていたらこの報が掲載されていた。
直接話したことはないけども、コミケの撤収作業後の反省会で
参加者に直接、呼びかけたり質問に答える姿を見てきた。


注:コミケでは事前設営、撤収作業をスタッフだけではなく、
  有志の参加者も行ないます。撤収作業後には簡単な反省会と称する、
  開催期間の出来事の報告、その場にいる参加者の質問への回答を
  代表が行う事が恒例になっています。参加者は数百人程度。


最近は反省会に参加していなかったので、姿を見かける事はなかった。
ただ参加者からの反省会レポートを毎回見ていたので、今年の8月に
行なわれたコミケの報告にも出席していることは確認していた。
報告文によると、「ぎっくり腰のせいであまり動けなかった。」と語ったらしいが、
入院が7月という事なので、自分の病状は理解していただろう。
肺がんであることは告知はされていたのだろうか。
推測だがされていなかったのではないか。
反省会では12月のコミケや、東京オリンピックが開催された場合の
会場確保(コミケ会場で使用しているビックサイトは計画では
水泳競技の会場になる)について語っていた。
病名を知った者が話す内容ではないだろう。


代表の交代告知が9月30日という代表の死の前日である事も
ギリギリまで現場復帰を模索していたあらわれのように思える。


コミックマーケット準備会代表の交代についての発表文
http://www.comiket.co.jp/info-c/C71/060930.html


関係者の話だが、気づいた時には既に手遅れだったらしい。
米澤氏の末期医療はどうだったのだろう。


米澤氏には評論家とコミックマーケット代表という2つの顔があった。
私はそのどちらの顔でも素晴らしい功績を残してきたと考えている。


コミックマーケットの存在により、自由な作品発表や評論が行なえる場を
形成し、現在のアニメ・マンガの土台を作った1人であると考えている。
また、コミックマーケットの理念も私が大学時代に行なってきた
「自主文化創造、自主管理」に近いものがあり、共感できた。
「全員参加主義」とも標榜される、「全ての参加希望者を参加できるようにし、
そして、作品を買う者も「お客」ではなく「参加者」の一人である」という考えで
今まで運営してこれた事には偉大さを感じる。
私も大学祭では同様の考えで運営しようとしてきたので、その困難さは
痛いほど分かる。ましてや私が運営していた祭りの数十倍の規模なのだから。
理想を語るのは簡単だが、現実に行なうとなると様々な障害が発生する。
特に行政・警察・消防などからは圧力を受けてきた事は耳にしているので、
その圧力を上手く交わしてきた事は凄い。


評論家の面でも「藤子不二雄論」や「漫画同人誌エトセトラ」など
価値の高い文章を発表してきた。特に「藤子不二雄論」は
賞を受賞するなど高い評価を得ていた。


あと10年死ぬのが遅ければもっと多くの名著を出してきただろうし、
高い評価も得れたのではと考えると、残念としか言いようがない。


決まり文句のような形で恐縮だが、
謹んでご冥福をお祈りいたします。


カリスマであった代表が交代して、以後のコミケ運営がどのようになるのか。
1〜2年は注目していかねばならない。